倫理観

ただのアイドルオタクの独り言です。

「ありがとう 君といた すべての奇蹟に」

彼は、私が“人生で初めて好きになった人”だ。



私が彼に出会ったのは、9歳の頃だった。

母が「あんたちょっとはこういうのに興味持ちなさい」と私に渡した、嵐のアルバム。
私はその時、嵐というグループの存在すら知らなかった(何故かHey!Say!JUMPとKAT-TUNのことは知っていた)。
当時の私は芸能人に全く興味がなく、誰の曲だろうと思いながら塾の行き帰りに毎日アルバムを聴いていた。

そんなことをしているうちに、私は嵐の曲をどんどん覚えていった。




嵐のメンバーの顔を覚えた(初めて認識したのは、やはり当時の「王道」といえる櫻井翔であった)。
嵐のメンバーそれぞれの性格やキャラクターを覚えた。
曲を聴いて、誰が・誰と歌っているのかを聴き分けられるようになった。
好きな嵐の曲ができた。
嵐が出ている番組を見るようになった。
嵐が載っている雑誌を買うようになった。
嵐のライブDVDを買うようになった。





気がつけば、私は毎日嵐の曲を聴いているうちに、嵐のファンになっていた。
こんなにも何かに対して熱烈に“好き”だという感情を抱いたのは、まさに生まれて初めての経験だった。




そして、そんな中でも私が特に好きになった所謂「担当」が彼だった。
嵐の曲から彼らのファンになった私にとって、そうなることは必然のことだったのかもしれない。
子どもだった私にも分かるくらい桁違いに卓越したダンスの技術を用いて、かつ透き通るような声で伸びやかに歌う彼と、バラエティの収録中に寝てしまう彼が同一人物だとは思えなくて、だからこそ私の目にはステージの上での彼がキラキラと輝いて見えた。

彼が復讐鬼と化した弁護士を演じたドラマ「魔王」を見て、私は更に強い衝撃を受けた。
over the rainbow」が流れるオルゴールを前に、美しく哀しい涙を見せる彼。真っ赤に染まった部屋で、ターゲットの写真を睨みつける彼。女性に抱きしめられ、狼狽えるような仕草を見せる復讐鬼であるはずの彼。
普段テレビで見る彼の姿はどこにもなくて、成瀬領という一人の男がそこにいた。

約10年前に放送された「ひみつの嵐ちゃん!」にて、ゲストの女優が彼のことを「ギャップ王子」だと称していたことがあったが、まさにその通りだと思った。
周囲から「天才」だと言われるほどの才能を持ち合わせているにも関わらず、普段は一切その素振りを見せず、全く驕らず、「リーダーはあだ名」だと自身を弄る。
そんな彼の様子が、当時まだまだ子どもだった私には、月並みな言葉だがとてもかっこよく見えたのだった。



中学2年生の時、初めて嵐のコンサートに当選した。
それまで私は嵐はテレビの向こう側の人だという認識だったが、私の前に現れたのは紛れもなく私と同じ人間で、「嵐は生きてるんだ」と改めて実感させられた(同行した母によると、嵐が登場した瞬間私は「嵐ってほんまにおるんや!生きてるんや!!」と大興奮していたらしい)。
当時のソロ「two」の大サビ前、約6秒程も続く彼の超ロング&ハイトーンがヤフオクドームに響きわたった瞬間。5万人もの観客が一気に息を詰め静寂が広がった刹那、今度は5万人の感嘆のため息が会場を埋め尽くしたことを鮮明に覚えている。
2012年12月8日に見たあの景色を、私は恐らく一生忘れないだろう。





彼はよく「何もしていないリーダー」だと自分のことを称し、また第三者からもそう言われている場面をしばしば見かける。
彼は場を仕切ろうともしなければ、メンバーに支持を出したり注意をしたりもしない。
一つ下の彼や、末っ子の彼の方が余程リーダーらしいと世間的には思われているだろう。

私も、正直じゃんけんで決められたリーダーという職に、彼は然程執着していないと考えていた。
最年長のリーダーとして他のメンバーを後ろから見守り、包み込むのが彼だと思っていた。




けれど、それは少し違うということを最近知った。

嵐のドキュメンタリー・voyageの彼がメインとなる回で、彼はこう言っていた。


「リーダーが辞めるんだよ?」
「この気持ちは俺以外は誰も分かんないと思うよ」
「ずーっと嵐のことしか祈ってないの、俺」


彼は、嵐のリーダーとしての重い責を20年間背負って生きてきたことを知った。
相葉さんの「リーダーはグループに全てを捧げている、自分なんか端の端なんだ」という言葉に思わず涙する彼の表情から、彼がこれまで背負ってきた私には想像もつかないくらい重いモノが伝わってきて、あまりにも胸が苦しくて堪らなかった。
お茶の間ではやる気のないキャラクターを演じ、けれど心では嵐とそのメンバー4人のことをずっと案じて、彼なりにグループを引っ張ってきたのが彼だった。



彼は、努力を見せない人だ。

世間は彼を「天才」だと言うけれど、私は彼の技術を才能だけで語ってほしくはないと思っている。
裏ではずっと自主練をして、そうして積み重ねたスキルを何でもないように観客に披露するのが彼だ。
勿論、彼には歌やダンスの素晴らしい才能が備わっていることは間違いない。
けれど、その上に血の滲むような努力を重ねて、人を感動させるパフォーマンスを魅せてくれているということを、私は忘れずにありたい。
嵐を旅する展覧会で見た、一人で黙々とダンスの練習をする彼は、誰よりも泥くさく、そして誰よりも輝いて見えた。
彼の個展「FREE STYLE」では、その膨大な作品の数とパワー、そして作品に込められた想いに圧倒され、思わず手足が震えた。

彼は、昔も今も、努力の人だ。



そんな人なのに、彼はグループで歌う時は自分を決して全面に出そうとはせず、あくまで「5人」のハーモニーを奏でることを重視しているように見える。
彼ほどの人ならば単体でも充分注目を浴びることができるはずなのに、常に「5人で」ということにこだわり続けている。


彼は嵐のリーダーとして、嵐のことを、メンバーのことを心から想っていることが、彼自身の言動から伝わってくる。
「なんて人たちなんだ」「自分で言うのもなんだけど、良い5人だね、本当に」「奇跡の5人だよ」と言う彼の表情は、まさに心から愛おしいものを見つめる時のそれなのだ。




その笑い方 その話し方 その全てが温かな仲間は きっと他にいないだろう だって…そんなやつは他にいないんだ もう
(嵐「5×20」)




嵐のためなら、メンバーのためならどんなことでもできると語る彼は、紛れもなく国民的アイドルグループのリーダーだった。

彼は、愛の人だ。




そんな彼が、「命がけ」で決断したという選択。


私は、これまでずっと嵐のために生きてきた彼に、今度は自分のために生きてほしいと思っている。
本当は人目が多いところが苦手だという彼が、「4人が幸せならそれでいい」と言う彼が、彼らしく過ごせる場所で、彼の大切な人と、幸せになってほしいと心から思っている。

宮城でのアラフェスで彼が見せた涙が、私は今でも忘れられない。5×20のオーラス公演で「そんなこと許されないと思っていた」と、思わず見せた涙も。
そして15周年の時に、彼がハワイで見せた涙も、これまで一度も忘れたことはない。

嵐として、嵐のために生きた人。







大野くん、お誕生日おめでとうございます。


13年前にあなたに出会ったあの日から、私の人生は180度変わりました。
私は人生の半分以上の時間を、あなたのファンとして過ごしています。
あなたに出会っていなければ、絶対に今の私はいないと言い切れます。
私の人生を素晴らしいものにしてくれて、本当にありがとう。
私の人生に彩りを与えてくれて、本当にありがとう。
 

あなたの歌に惹かれて、あなたの才能に惚れ込んで、あなたを人として好きになれた私は、この世で一番幸せなアイドルのファンだと思っています。
コンサートで、いつもファン一人ひとりと目を合わせて、君だよ!と指を指してくれる大野くんが大好きです。
“ファンの子”を大切に、ということを繰り返し言葉にしてくれる大野くんが大好きです。
嵐のため、メンバーのため、そのファンのためにすべてを注いできたという大野くんが大好きです。
 

あなたのファンになれて、本当に良かった。
大野くんは昔も今も、そしてこれからも、私にとって一番のアイドルです。


どうか自分のために、自分の人生を生きてください。
これからのあなたの人生が、幸にあふれたものになることを、心から願っています。
2021年からもずっとずっと、世界でいちばん愛してます。


2020年11月26日








ひらひらと花が舞う頃
旅立ちを決めた思いは
今 誰のためでもなくて
思い出を抱きしめながら
僕たちは歩いてゆくよ
今 瞳の奥に 輝く夢は
いつでも いつまでも
いつでも いつまでも……
(嵐「season」)