2012年1月28日から、今日で12年が経ちました。
12年前のあの時、自分には何ができると悩んで悩んで悩んで、筆を手に取ってくれたこと。
その筆を折ることなくこれまで書き続けてくれたこと。
その結果、文学賞という目に見える形で評価されるまでになったこと。
すべてが加藤さんの血の滲むような努力が成したことであるとともに、決して誰にでもできることではないと思います。
アイドル作家なんて前代未聞で、きっと色んな言葉を目にすることもあったと思うし、色眼鏡で見られることも覚悟の上だったでしょう。
『ピンクとグレー』を刊行した朝、「叩かれる日々が始まったと思った」と言っていたことが忘れられません。
それでも、熱を絶やさず心の内を開き、物語を紡ぐことを諦めなかったこと。
それが加藤さん自身を磨き上げ、12年前よりずっとずっと魅力の溢れた人になられていること。
心から尊敬しています。
「努力は人を美しくする」とは、加藤さんを表すのにぴったりな言葉だと思っています。
自分の持てる全てを使って命懸けで書いたという『なれのはて』、この本を世に出すことを少し憚ったという加藤さんの思いがよく分かる内容でした。
昨今の状況下で、他でもない加藤さん自身が紡ぐからこそ読者に強く訴えかける力を持つ作品だと思いました。
加藤さんの12年の作家生活が詰まったこの作品が、1人でも多くの人に届くことを心から願っています。
12年目以降も加藤さんが紡ぐ物語、そしてそれに併せて生まれる加藤さん自身の物語を楽しみにさせてください。
書き続けてくれて本当にありがとう。
いつもいつも、様々な形でたくさんの幸せをくれてありがとう。
『オルタネート』でも『なれのはて』でも、想像もしていなかったような幸せの溢れる場所へと連れて行ってくれてありがとう。
大好きな人の頭の中を、物語という形で覗くことができる私は、世界でいちばん幸せなファンだと胸を張って言えます。
作家デビュー20周年本当におめでとう!
作家加藤シゲアキの未来に幸あれ!
あの日の自分へ。
孤独とばかり付き合わずにいてくれてありがとう。小説を書くに当たって、なにからしていいかわからずテレビに布団をかけてくれてありがとう。執筆用のソフトを何時間もかけて探してくれてありがとう。私は今でもそのソフトを使っています。
そして、自分自身を諦めないでいてくれてありがとう。
この先の十年がどのようになるか私はわかっていないが、でもきっと十年前と同じように、どこかで想像しているのだろう。その道は決して平坦ではない。ごつごつとしたオフロードだ。
しんどいに違いないが、その乗り心地の悪さと共に得るかけがえのない快感を、私はすでに知っている。
(『1と0と加藤シゲアキ』あとがき)