倫理観

ただのアイドルオタクの独り言です。

大好きな人が結婚した

 

3月はじめの、まだまだ風が冷たいけれど春らしい穏やかな青空が広がる日曜日のお昼だった

世界でいちばん大好きな人が結婚した

 

 

お布団で惰眠を貪っていたのに、ピロピロうるさいスマホからの通知で目が覚めた。休みの日に何だよと思いながら画面を見ると、そこには自分の安否を確認するLINEが鬼のように来ていて。

その中のひとつの文字列を見て、一気に覚醒した。

「シゲ、結婚した」

シゲってどのシゲ?え、結婚?シゲ、シゲって、まさかシゲアキのことか?え?は?と思いながらメールボックスを開くと、「ファンクラブ会員の皆さまへご報告」「加藤シゲアキよりファンクラブ会員の皆さまに大切なご報告がございます」というメールが来ていて、そこでおおよそのことを悟った。

 

加藤シゲアキよりファンの皆さまへご報告」と題した彼自身が綴った文章を見て、真っ先に何を思ったかと言うと、「この人のファンで本当によかった」ということだった。

結婚報告の文章でまた惚れ直すとは、まさか思いもしなかった。

「やっぱりこの人のこと大好きだな」と思ったし、「世界でいちばん幸せになってね」「本当におめでとう」って、心の底から本気で思った。彼がひとりの男性としての幸せを掴んだことが本当に嬉しくて、涙が出そうだった。何より、彼が彼自身の幸せを諦めなかったことが私は嬉しかった。  

こんな時でさえ「お気持ちを想像すると大変に申し訳なく、晴れやかな気持ちばかりではございません」と、ファンに優しく寄り添ってくれる彼は、まさしく私が世界一大好きな加藤シゲアキという人そのものだった。

 

大好きな人が大切な人と幸せになれたこと以上に、喜ばしいことってあるだろうか?

発表から数時間、私は思いきり浮かれていたし知り合いからの安否確認にも「全然大丈夫!w」「最高にハッピー!!!」と能天気な返事をしていた。彼が彼の大切な人と笑顔でいるさまを思い浮かべるだけでニヤけてしまうほどだった。

本当におめでとう!!!貴方のことが大好き!!!!世界でいちばん幸せになってね!!!!ずっと笑っててね!!!!お幸せに!!!!!

 

 

けれど、日が落ちて夕方が過ぎ、夜が更けるにつれて、そんな“嬉しい”の気持ち以外の感情がじわじわと胸中を侵食していって、あれ?あれ?と訳が分からなくなった。

喜んでるはずなのに、どこか心にぽっかり穴が空いたみたいな、何か大切なものを置いてきてしまったみたいな、あるいは自分だけ置き去りにされたみたいな、よく分からない感情だった。

今思うと、それは“寂しい”ということだったんだろう

 

 

加藤さんの好きな部分なんてそれこそ数えきれないくらいあるけど、それらのうちのひとつに「自分の中身をひらいて見せて共有してくれるところ」がある。

彼ほど人間らしいアイドルを、私は他に知らない。

楽屋の隅でひとり泣いていた成亮が、他の誰にもない武器を手に彼にしか紡げない道を歩むシゲアキへと花開いていく。

もがいて苦しんで、地べたを這いずり回りながらも力をつけて、そうして夢を叶えていく。

そのあまりにも泥臭く眩しい生き様に魅せられているし、加藤シゲアキというひとりの人間が歩む人生にいつだって勇気と希望をもらってきた。

「俺の夢は、皆の夢でい続けること」「自分の人生を使って物語を魅せる」と口にする彼は、自分の内面を曝け出すことを厭わない。自分には何もない、お荷物、孤独、人が怖い、自分以外は全員敵だと言っていた当時の彼が、生き抜くために掴んだ「執筆」という唯一無二の武器。自分自身を外面から内側へとめくっていく作業は痛く苦しいし、それは書くという行為そのものだと彼は著書で語っていた。

「自分の見せたくない部分を見つけて刺激して、お客様に提供する」

そうして紡がれた彼自身による言葉に、私は何度だって救われてきた。また、書くという行為以外でも、彼は彼自身についてよく語って聞かせてくれた。自分がいま何を感じ、どう生きようとしているのか。「そこまで話してくれなくてもいいよ」と言ってしまいたい時があるくらいに、脳みそをむき出しにするみたいに、本当に全部教えてくれる人だった。芸能界という嘘やレッテルで塗り固められたような世界で生きている人にしては、彼はあまりにも素直で実直に見えた。時にはリップサービスも駆使しながら、ファンに愛される必要のあるアイドルという職業に就いている人にしては、彼はあまりにも“ありのまま”で生きている人だった。

kamehameha0302.hatenablog.com

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その姿が危うく見える時もあったし、外野から見ていて苦しく感じる時だってあったけど。彼が葛藤や挫折を必ず糧にして、どんどん魅力的な人間へと変わっていく彼自身の人生を、私は愛してる。

 

そんな彼だったから、彼のことをおおよそ知っている気でいた。

彼が紡ぐ文章、曲、戯曲、何より赤裸々に語られる彼自身の言葉から、加藤シゲアキを理解している気でいた。

そしたら、突然私の知らない顔をした彼が出てきたことにびっくりしてしまった。

私は加藤シゲアキのことを分かった気でいたけど、その実加藤成亮のことはなんにも知らなかったんだ。その事実に気づいてしまって、時間差で打ちのめされた。

私は客席から演者を眺めるしかできない一般人で、彼は決して手の届かないステージ上で踊り歌う側の人間。そんな当たり前のこと分かっていたはずなのに、彼があまりにも近い距離で手を伸ばそうとしてくれるから、その事実を忘れてしまっていたみたい。

「お互いにこの距離感だからこそピュアな気持ちでいられる」って言っていたのに、いつの間にか近くで生きてる気でいちゃってた。

 

NEWS EXPO 名古屋公演にて、彼はこう語っていた。

「僕は幸せになりたい」

「僕は自分の幸せを大事にしたいと思うし、自分の幸せになる場所が皆の幸せになる場所と一緒ということがどれだけ尊いか実感しました」

「だから皆も自分の幸せを自分で守って、自分の幸せを手にして、一生懸命生きてほしい」

私はこの言葉を聞いて、泣いた。彼が「幸せになりたい」と口にしたことが本当に嬉しかった。

最近の彼、特に3人になってからの彼は、自分より他のひとの幸せを願って生きているように見えていたから。「自分のことより2人(小山・増田)が幸せでいられることだけを考えてる」と語り、「一緒にいることを諦めないでくれてありがとう」と綴った彼は、仲間のためにこの運命を選んだんだなと痛いくらいに伝わってきた。

また、4人になった時に「もうねえから!」と泣きながら語ったあの日の言葉が、結果的に嘘をつく形になってしまったと感じていて、その思いを抱えながらずっとNEWSとしてステージに立っていることだって知った。また裏切るくらいなら、ここで区切りをつけて宝箱へと閉まっておく方が大切なものを守ることになるんじゃないかと、グループ存続に対して一番後ろ向きだったということも。ここ数年、彼は顕著に未来の話をしなくなった。きっと彼自身が心から信じていた「4合わせ」な未来を失ってしまったことが、彼の心に大きな穴を空けてしまったんだろうと思った。そう感じながらも、ふたりやファンの想いに応えてもう一度ステージに立つと決意して、今日この日まで立ち続けてくれている姿からは、陳腐な言葉だけど責任や覚悟、そして強い自責の念が痛いくらいに伝わってきた。

そんな彼が、「生きててよかった そんな日々を探してる」と思いながら生きてきた彼が、自分の幸せを諦めないでいてくれたこと。そしてその幸せが、私たちと過ごす時間と共にあると言ってくれたこと。涙が出るくらい嬉しかったんだ。

 

まあぶっちゃけ、当時「あれ?これ、もしかして結婚する?」ってちょっとだけ思ったけど。まさか本当に、こんなにすぐにするとは思わなかったよ。

 

彼が責任と覚悟をもってしたという決断が、嬉しくない訳じゃない。結婚してほしくなかったともまったく思わない。彼自身が幸せになるための一歩として、心から祝福するし喜びだって感じる。

けれど、これをきっかけにこれまで追いかけ続けた憧れで大好きな加藤シゲアキが変わってしまうかもしれない、ということが、どうしようもなくこわい。

 

 

自分の心のなかや私生活まで明け透けに語ってくれる加藤さんが好きだった。「ファンの皆さんという1人の人間を愛するように20年活動してきた」「ふたつ僕たちが重なるように心中してきた」と言いながら「人情心中」という曲を作って、「ファンへのラブレター」だと言いながら詩を書いて、「僕(太陽)の光で皆さん(月)を美しく照らし出す、そんな関係」だと言いながら「月蝕心中」を読み語りしてくれて。

いつだって誠のこころで素直に、愚直に、まっすぐに接してくれる愛情深い加藤さんが、どうしようもなく、心の底から大好きだった。

嘘なのか誠か

ふたつ重なる月影

さながら私とあなただ

いっそ心の中まで

ふたつの重なり

嵌まりゆく時間

月蝕さながら私とあなた

稀有な夢と現

私だけの愛しき心の中

倒れ伏す彼の周りを取り囲んだ女性たちが、彼を突いて再び起き上がらせ首元に手をかける。私がNEWS EXPOのステージで見た光景。今思えば、まだ誰のものでもない状態でファンと心中させてくれたのは、彼なりの優しさだったんだなあ。

「己でこさえた幸せだ とやかく言われるいわれはねぇの」強気な表情でそう高らかに歌い上げる彼は、もう楽屋の隅で1人きりで泣いていた、自分を応援する声が生きることにどうしても必要だった彼とは違うんだなと思った。暗闇の中でもがきながら光明を探して、ついに幸せを手に入れたんだ。

 

「好きになりすぎないこと」彼が教えてくれた言葉。これだけは全然守れなかった。いつの間にか、成亮さんのことを好きになりすぎてしまった。成亮さんに出会わなかった人生なんて考えられないって本気で思うくらい、私の人生や価値観を変えてくれたひと。どこまでも優しいひと。誰よりもひたすら真っ直ぐに不器用に、愛に生きる成亮さんの人生に、私は恋をしてたんだ。

 

 

こんな感じでメソメソしてるけど、同時に確信だってしている。これから彼が一緒に作り上げていくという光景は、きっとこれまでよりもっともっと美しいものになるんだろうって。

今までだってそうだった。彼はどんな時も、「皆さんの想いを小さな背中で背負えるだけ背負って歩き続ける」「自分の殻から抜け出る」といった言葉の通り、その時感じたものやことを糧に彼自身の人生をより輝かせてきた。

この確信は、彼がこの二十数年間で培ってきた信頼だ。歳をとるにつれてどんどん魅力的に、かっこよくなっていく彼を見てきたから、人生のステップをひとつ上がった彼はこれまでよりさらに磨き上げられて、ずっとずっと素敵な人になっていくんだろうって信じてる。私はそんな彼という主人公が描くしあわせの物語を、これからも見守り続けていたい。

世界を変えたいのなら、自分自身が変わらなければならない。すると同時に、世界は変わった自分と同じように変貌する。そして、きみ自身が幸福に生きるならば、世界はもっとも大きくなって輝くだろう。

(ヴィトゲンシュタイン論理哲学論考』)

「僕が愛し続けたから、周りに僕のことを愛してくれる人しかいなくなった」

「自分に刃を向けてくる人を正面から抱きしめられる人間であれ」

色んな言葉で溢れる世界を丸ごと抱きしめることができれば、いつか優しい世界になると信じてる。彼はそういう人。人間が好きなんだなと思った。愛で自分の世界を変えてきた、愛に生きる人は、これからもきっと私たちにたくさんの愛をくれる。変わり続けることで、変わらない愛をくれる。

「先のことは分からないけど、命ある限り一生懸命頑張る」「俺も見たことのない新しい加藤シゲアキを見せ続けて、これからも追いかけがいのある人でいられるよう走っていくから。」そう宣誓してくれた彼のことを信じている。これまでも、これからも。

 

あらゆる可能性があった。だけど僕らは、この運命を選んだ。

「Different Lives」の一節。

この道は、あらゆる枝葉の中から彼が選び出した運命のひとつ。 

 

シゲアキさんの物語の一部になれることが嬉しかった。

シゲアキさんの幸せは、私たちと共にあるって言ってくれて、嬉しかった。

 

だから私も、私の幸せを守って、幸せを手にして、一生懸命生きていくよ。私が成亮さんの人生を知らないように、成亮さんだって私の人生なんか知る由もない。そんな赤の他人同士が、同じ歌を歌って感動して奇跡のような時間を共有できること。それってなんて素敵なことなんだろう?分け合った幸せを胸に抱いて、それぞれの人生へと帰っていく。そうしてそれぞれが主人公の物語を、もっと輝かせていく。これからもそんな関係でいられることを願ってる。

月と地球ほどの距離感があるけれど、優しく美しく照らし出し、照らし出される月蝕のような関係になれたら。

そうして彼の光で照らし出された時に、彼に恥じない美しい姿でいられるように、私は私の人生を輝かせていきたい。

そう思わせてくれる加藤シゲアキは、やっぱり私にとって世界でいちばんのアイドルだ。

 

 

これまでたくさんの幸せをくれて本当にありがとう。

自分自身を切り分けるみたいに、血を流しながら一緒に歩いてくれたこれまでを、決して忘れません。

加藤シゲアキさんと出会えたことで、私の人生はずっとずっと色鮮やかで豊かなものになったんです。

そうして幸せにしてくれたぶん、世界でいちばん幸せになってください。

どうかあなたが大切な人と笑い合いながら、幸せに満ちた人生を紡いでいけますように。

そう心から願っています。

 

 

世界でいちばん大好きなひと。

加藤さん、ご結婚おめでとうございます。