倫理観

ただのアイドルオタクの独り言です。

大好きだったあなたへ

 


私はNEWSの手越祐也くんが大好きだ。


初めて行ったNEWSのコンサート
大阪城ホールのセンターステージでキラキラと輝いていた彼の太陽のような笑顔を、私は今でも鮮明に思い浮かべることができる。
MCで彼が「俺はステージとライトが大好き!楽しい!」と口にした言葉は、きっと彼の心の底から湧き出た本心なのだろうなと、そう思わせられるような笑顔だった。

彼のソロ曲では、その類を見ない超ハイトーンボイスと美しいビブラート、そして会場に響き渡る圧倒的な声量に、私は当時特段ファンではなかったにも関わらず涙ぐんだ。
歌声を聴いて意図せず涙が流れたのは、大野智さんの生歌を初めて聴いた時以来だった。

まさに夢のような時間を過ごし、私はその日からNEWSのことが、手越くんのことが大好きになった。



コンサートの際には、毎度手越くんのグッズは全て購入していた。
実際に見る手越くんはテレビ越しで見る何倍も輝いていて、キラキラしていて、まるで天使みたいだと思う瞬間も多々あった。
彼がファンに向けてくれる笑顔は本当に眩しくて、私はその笑顔を見ると日々の悩みや疲れなど吹っ飛んでしまうような心地になった。


けれど、私が何より一番好きなのは、やはり手越くんの歌声だ。
女性並みのキーで高らかに歌い上げる手越くんの歌声は私の脳髄を揺さぶり、彼のソロ曲では訳も分からないまま何故か泣けてくる、というのが常だった。
バラードでは歌詞に想いを乗せながら柔らかく、優しく歌い上げ、逆に激しい曲調のナンバーでは圧倒的な歌唱力で会場を支配する。
私は大阪城ホールで初めて彼の歌を聴いたその瞬間から、彼の歌声に魅了され、そして心底惚れ込んでいた。


デビュー当時は知名度も人気も全くなかった彼が、並々ならぬ努力を重ねてグループの顔にまで上り詰めたこと。
一般的にはチャラついたイメージの強い彼だが、根は真面目で共感した人に対してはとても親身になる人であること。
自分は強い人間なんだ、と強がりながらも、自分の信じるものに向かって、ひたすら自身を磨き続けることができる人であること。

私に持っていない部分を沢山持っている彼は、私の目にはとても輝いて見えた。
手越くんは、私の太陽だった。





6月19日の18時半、帰宅途中の電車内で事務所からの報告を見た。
淡々とした文書一枚で報告された内容が信じられなくて唖然としていたら、メールボックスにNEWSのFCからのメールが届いていた。
URLを開くと、「NEWSよりファンの皆さまへ」と題された、手越くん以外の3人のメンバーからの動画が掲載されていた。
私の脳は現実を受け入れることを拒否していて、電車を降りて呆然と駅構内を歩いたことを覚えている。

小山慶一郎 加藤シゲアキ 増田貴久」と、3人分の名前しか書かれていない動画を一生見たくなくて、けれど絶対に見なければいけない動画だということも分かっていた。


思いきって再生ボタンを押すと、
そこには今にも泣き出しそうな顔で、
しゃくりだしそうなのを留めようと息を呑んで、
これまで聞いたことのないような震える声で、
「4人のNEWSを守りきることができませんでした」
「これからは3人のNEWSを認めてもらえるように頑張ります」
「NEWSを守っていきます、守ってみせます」
と、深く頭を下げるメンバーの姿があった。
正直、ファンには絶対見せてこなかった、見せるべきではない顔をしていた。

それを見ながら、私は「ああ本当に3人になってしまったんだな」と、じわじわと目の前の現実を実感し始めていた。

メンバーカラーの4色が入った四つ葉のクローバーのネックレスを身に着けて、彼のパートを空けて、叫ぶように歌う3人のライブを見て「彼は絶対に戻ってくる」と思った次の日のことだった。

 



今回の件に関しては、「ファンならこうあるべき」といった正解/不正解のようなものはないと思っているし、他人に自分の考えを押し付けたくはないと私は考えている。
きっと誰により思い入れを持っているか、という立場によっても意見に違いが出てくると思うし、抱えている思いは人の数だけあるだろう。
そう前置きした上で、私が感じたこと。




私は今でも、彼がSTORYをやり切らないまま去ってしまったことに憤りを覚えている。
「事務所があのタイミングで辞めろと言ったから仕方がない」「彼だってSTORYをやりたかった」、という意見があることは分かっている。
様々な思惑やタイミングが重なった結果こうなってしまったことは、私も重々理解しているつもりだ。


けれど、彼も含めたメンバーや何百人をも越える数のスタッフが4年間、いやそれ以上の時間をかけて、構想を練りに練って、心血を注ぎ込んで作り上げた、まさに彼らの血と汗と涙の結晶とも言える作品の最終章を、彼自身が投げ捨てた事実に変わりはない。
NEWSとそのファンにとって、STORYがどれだけ大切なものであったかを誰よりも分かっていたはずなのに、彼がいとも簡単にそれを放り出してしまったことが、私はとても悲しい。


もし当初の予定通り彼がSTORYの後に退所していたら、私は恐らく彼の新しい門出を素直に祝っていただろう。
グループを抜ける権利も、事務所を辞める権利も彼には当然あるし、夢のために去ることは私は悪いことだとは全く思っていない。
(実際、随所での彼自身の発言から、私は何となくSTORYが終わったら彼はいなくなってしまうのではないかと薄々感じていたし、ファンの間でも何となくそういった空気は流れていた、ように思う。)


ただ、自分の夢を追いかけるばかりではなく、もう少しだけ身の回りの人達のことも省みようとしてほしかった。
彼は会見で、「アイドルにとって30代前半は一分一秒が大切」だと言った。
確かにその通りだ。
そして、それは彼だけではなく、NEWSのメンバー3人にも当てはまることだ。

ここ数年間、STORYに向けて彼らが注いだ熱量はとてつもないものであったと思うし、本作が彼らにとって一つの大きな分岐点であったことは間違いないだろう。
「STORY」「NEWSTORY」「クローバー」等の楽曲を聴いていると彼らの覚悟や熱量、想いが痛いくらいに伝わってくるし、集大成にふさわしいアルバムだと私は初めて聴いた時に感じた。
メンバーだけでなく、ファンからのイラストやメッセージ、音声等をふんだんに使って皆で作り上げた、まさに宝物のようなアルバムだった。
いわゆる「毎年やっている普通のツアー」ではない、間違いなくNEWSとそのファンにとって、グループの色や方向性すら変えてしまうような、とても大きなプロジェクトだった。


それを、こんな形で、中途半端に途絶えさせてしまった彼に、何か思うところがあっても許してほしい。
4人のシナリオのフィナーレを、彼曰くたった2.3時間考えただけの決断で、こんな形で終わらせてほしくなかった。
加藤さんと増田さんが「これは勝った」と嬉々とした声色で話していた4人のSTORYの物語を、どうしてもこの目で見たかった。
ただのファンの我儘だと分かった上で言わせてもらうと、彼には事務所に頭を下げてでも、STORYだけは美しい形で完結させてほしかった。


脱退から約一週間後の配信で、彼が投げ捨てたSTORYを、3人はどうにかしてやり遂げたいと言ってくれた。
私はそれが心底嬉しくて、泣いた。
NEWSのSTORYは、ツアーの完全中止が発表された時点で完全に潰えたと思っていたから。
いつになるかは分からないけど、もしかしたら夢物語のままで終わってしまうかもしれないけど、私たちのSTORYはまだ続いているんだと思えた。
けれど、ゲネプロまで終わっていたというSTORYをまたイチから編み直すことは、メンバーとスタッフにとっては途方もない作業だろう。
物語は?構成は?曲は?歌割りは?衣装は?会場は?と、言い出したらキリがない。
何故なら一つの完成していた作品を、もう一度バラバラにして再び繋ぎ合わせるようなものだから。

また、今後仮にSTORYが完成したとしても、それは当初3人がファンに見せたかったものとはどうしても形が変わったものになってしまうだろう。
3人の手元には壊れたSTORYだけが残され、完璧だったはずのSTORYを私が見ることは一生叶わないのだろうと思うと、どうしようもなくやるせないのだ。





また私は何より、彼が17年もの間苦楽を共にしてきたはずのメンバーと、まともに話し合いもせずに辞めてしまったことが一番ショックだったし、悲しかった。


3月下旬の生放送時の後に退所の意向を伝えていたとはいえ、その時点ではメンバーは「それでも自分たちは手越と一緒にこれからもやっていきたい」と言っていたという。
そこから連絡が一切取れなくなり、私たち一般人やメディアに発表するほんの数日前に、退所の事実を事後報告のような形で告げられたメンバーの心情を考えると、胸が張り裂けそうになった。

5月下旬、加藤さんは「あらゆる思いが、彼に届くことを願っています。」と、手越くんの活動自粛を謝罪するブログの中で述べていた。
私はその時点でもしかして、と思ってはいたが、まさか本当に、自分たちの思いが彼に届くことを願うしかない状態にあったなんて。

そして、その思いはついぞ届くことはなかった。
会見での「メンバーも数日前に退所することを知ったと思うし、突然僕がいなくなったと感じていると思う」「(加藤増田とは)今も連絡はとっていない」「メンバーも細かい事の経緯は知らないと思う」という言葉を聞いて、私は絶句した。
先日のブログの内容、そしてあの日届いた動画内での3人の表情の答え合わせがそこにはあった。


NEWSはこれまで、多くのメンバーが脱退してきたグループだ。
近年こそそのことをネタにしていた節もあったが、実際彼らが過去に猛烈な苦悩を抱えていたことをファンは知っている。
だからこそ、その苦しみが痛いほどに分かるはずの彼が、同じような、いやそれ以上の行為をメンバーに対して行っていることが理解できなかった。
「この4人で幸せになりたい」と泣きながら話していたメンバーに対して、このような仕打ちを為していることが信じられなかった。


もう少し、メンバーの心を思いやってほしかった。
「大切な話は面と向かい合ってしたい」と会見で話していたけれど、ならば自分のことをずっと守ってきたという大切な仲間とも顔を突き合わせて、お互いに納得がいくまで話し合ってほしかった。
会見の舞台裏で「メンバー見てくれてるかな」と言っていたけれど、メディアや一般人に事の経緯を説明する前に、まずは一番身近な存在であるはずのメンバーと話をしていてほしかった。
私が大好きな3人に、あんな顔をさせないでほしかった。

本人によると、今でも加藤さんと増田さんとは連絡がついていないらしい。






会見が終わった直後、私は「もう無理だ」と感じた。
と同時に、「これからは3人のNEWSを全力で応援する!ありがとう手越くん!さようなら!」と、どこか晴れやかな気持ちになっていた。
これからは手越くんのことは陰ながら応援していく、と不思議と心が決まっていた。 


けれど、会見後に始まったOPENRECの配信を見て、私はまた心がぐちゃぐちゃになっていくのを感じていた。

配信の中で、手越くんは
「NEWSが大好き」
「3人が大好き」
「いつかまた4人でSTORYがやりたい」
「未練があるとしたら絶対的にNEWS」
と、繰り返し話していた。


少し涙目にも見える表情でそう語る手越くんを見て、私は「ふざけるな」と、心底腹が立った。
NEWSへの愛や思い出を語る彼の姿に喜んでいるファンのことが、まるで理解できなかった。
自分の夢のために、一方的に辞めた側がそれを言うのか、と混乱しきっている頭で思った。


自分の夢のためにSTORYのこともグループのこともメンバーのことも放り出したのに、今更未練なんて語ってほしくなかった。
夢に向かって走り出すと一度決めたなら、後ろなど振り向かずに走り抜いてほしかった。
どの口がそれを言うのか。
もう4人のSTORYは終わったというのに。
それを終わらせたのは、他でもないあなただと言うのに。

未練をタラタラと語る彼に猛烈に腹が立って、それと同時に彼の語るNEWSへの愛が本物であることも痛いくらいに伝わってきて、怒りなのか哀しみなのか悔しさなのか分からない感情が胸中にぐるぐると渦巻いて、
私は深夜2時まで続いたその配信を見ながら、彼が退所して以来初めて泣いた。







私はNEWSの手越祐也くんが大好きだった。


彼の天使のような笑顔が、伸びやかな歌声が、ひたむきな性格が好きだった。
彼は、私の太陽だった。



けれど、今は正直彼のことを素直に応援することはできない。

YouTubeSNSでNEWSのことを語る彼の姿は、私が大好きだった彼とは違う人物のように感じてしまうのだ。
自分が現在進行系で再び苦労を強いているのに「NEWSは一番苦労したグループ」などとグループのことを語ってほしくなかったし、今の猪突猛進に突き進む彼は、心の整理がつかないファンの気持ちを置いてけぼりにしているように私の目には映ってしまった。
勝手に好きになって勝手に腹を立てて勝手に離れようとしていることは分かっているし、自由に生きる、がモットーの彼に悪気がないことは分かっている。 


けれど、
私は3人にあんな顔をさせた彼を、
STORYに傷をつけて最悪な形で出ていった彼を、
立つ鳥跡を濁しまくってNEWSを辞めていった彼を、
どうしても許すことができない。 
事務所は一応円満退所だったかもしれないけど(弁護士まで立てた退所の何が「円満」?という感じだが)、グループは円満脱退ではなかったと私は思っている。

現在の彼が語る「初期から応援してくれるファン」「大切なファン」から、どうやら私は転げ落ちてしまったようだ。




あなたの夢を応援できなくて、ごめんなさい。

私はこれからは、NEWSを守ると宣誓してくれた3人の側で、NEWSの夢を見続けようと思います。
「先にあるものが美しいと信じて荒野を進む」と言ってくれた彼の背中に、全力で着いていきたいと思います。
ただ一人の相方だった彼からの、「これからは、ありがとうとごめんねを言える人になってください」という最後の言葉が届いたかどうかは、分からないけど。
あなたは、あなたをこれからも応援してくれるファンと、幸せになってください。


これまで沢山の幸せをありがとう。
あなたのファンでいられて幸せでした。
4人のNEWSが、心から大好きでした。





【追記】
『AVALANCHE〜雪崩〜』読みました。
NEWSとの大切な思い出をぐちゃぐちゃに踏み躙られたような、そんな感覚に私はなりました。
今もNEWSとして舞台に立っている3人がいることを忘れずにいて欲しかったです。
今までありがとう。